竣工以来、自主管理で管理組合運営を行っていますが、理事会役員の負担が大きく困っています。
マンション管理の専門知識を持っていないので、試行錯誤を繰り返しながら運営を続けていますが、年々役員の負担は増す一方で、特に会計業務に関しては皆が頭を抱えています。
また、居住者の高齢化もますます進み、この先、自分たちで運営を行っていけるのか理事会役員以外からも不安の声が挙がっています。
しかし、今まで管理会社へ業務委託を依頼したこともないので、自主管理から管理会社への業務委託に移行するまでの進め方や、委託する業務のイメージが湧きません。
自主管理の管理組合から「管理会社へ業務委託を検討している」と、お問い合わせをいただくケースがここ数年増えています。
自主管理マンションは管理会社の変更を検討しているマンションと異なり、管理会社へ業務委託することに対して、不安や抵抗を感じる居住者も少なくありません。
そのため、事前に居住者間で合意形成を図ることが必要となります。「なぜ、管理会社への業務委託を検討しているのか」という理由を明確にし、居住者に向けた説明会の開催や、理事会での検討内容や進捗状況を都度周知するなど、慎重に進めることが自主管理から移行するプロセスで最も重要です。
管理組合内での問題点や管理会社へ求めるニーズを確認するため、理事会へ参加させていただき、ヒアリングを行います。
また、「管理会社とは何か。」という基本的なお話から、管理会社へ業務委託する場合のメリット・デメリットを明確にしスケジュール案等もご提案・ご説明いたします。
多くの方々が不安に感じているのが「管理費が今よりも高額になり、自己負担が増えるのではないか」という費用面の問題です。このような問題を避けるため、現在の収支状況を勘案しながら、無理のない範囲で管理会社へ業務委託する項目を精査する必要があります。
今回は、管理組合の決算資料を拝見し、現状の費用で委託可能な業務を洗い出し、役員の皆様と相談しながら仕様を決めていきました。また、決定した仕様について文書化のお手伝いをし、管理仕様書を作成させていただきました。
管理会社へ業務委託することによって、管理組合の運営方法も変わります。 居住者の中には不安を感じている方もおられますので、自主管理から移行後の管理会社の業務内容やサポート体制についてわかりやすく説明します。また、皆様からの質問もお受けし、不安の解消に努めます。
総会で管理会社への業務委託が決定しましたら、自主管理からの移行準備を行います。
理事会議事録の作成方法や、会計書類の事前チェックによる勘定科目の修正等、理事会運営から、駐車場契約の受付方法や点検業務の確認方法などの日常的な運営まで、各種業務において理事会と何度も打合せを重ね、自主管理で実施していたこれまでの業務の流れを整理し、管理会社を絡めた今後の流れを構築していきます。
なお、管理会社に委託する業務の内容により、管理規約等の改定が必要になる場合は、その理由や必要性をご説明のうえ、議案書の作成等、総会開催のお手伝いもさせていただきます。
管理会社への業務委託に関して、当初は馴染みもなく不安に思われていた方も、繰り返しの文書配布や広報活動、説明会を行った結果、業務内容をご理解いただきました。
特に皆様が頭を悩ませていた会計業務については、組合会計部と何度も社内の打ち合わせを行い、勘定科目の整理から通帳の統一などの提案を行い、高い評価をいただきました。
また、決算資料を整理している中で、管理組合の収支状況が赤字であることも発見でき、早期に対策を検討することができました。
管理会社からのサポート体制が構築されたことで、役員の方々の負担も大幅に減り、懸案事項であった居住者の高齢化問題の一つが改善されるきっかけになりました。